個人歯科医院を継承したい!必要な手続きや届出書をチェック

歯科経営

昨今、歯科医院の継承開業が増加しています。

新規開業するよりも初期費用が抑えられるなどメリットが多く、継承開業を考えている先生が多くなってきているのが実情です。

しかし、いざ医院を継承したいと考えてもなにから始めていけばいいのかわからないという方は多いと思います。
そこで今回は、歯科医院継承について詳しく紹介するとともに、個人歯科医院の継承に必要な手続きや届出などについて伝授していきます。

ぜひ、最後までお読みください。

 

歯科医院継承とは

歯科医院継承は、いままで運営していた歯科医院を第三者に受け渡す継承事業のことです。

新規開業に比べて費用を抑えられるだけではなく、集患にもそこまで困らないことから、昨今注目を集めています。

 

歯科医院継承をする理由

では、なぜ医院継承が増えているのでしょうか。

最も多い理由として、院長先生の高齢化が進んでしまったことで引退を考えていることが挙げられます。

以前に比べて高齢になっても医院経営をしている先生は多い印象ですが、厚生労働省の調査では院長先生の平均年齢は58歳という結果が出ていました。

60歳以上の現役歯科医師は全体の34%という数値も出ていることから、60歳以上になると閉院や引退を決める先生が多いのかもしれません。

ほかにも経営環境の悪化によって、生き残りの厳しい歯科医院も継承する理由に挙げられています。

 

歯科医院の継承開業のメリット

いままで運営していた歯科医院を継承して開業するにあたり、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

それぞれ見ていきましょう。

 

医院継承するメリット①「初期費用を抑えられる」

歯科医院を新規で開業する場合の費用は、最低でも5000万円は必要です。

しかし歯科医院を継承して開業する場合、初期費用を抑えることができます。

もちろん譲渡費用は発生しますが、新規開業と比較すると、その差は雲泥の差でしょう。

 

医院継承するメリット②「患者を受け継ぐことができる」

新規開業すると、集患対策を講じる必要があります。

これは継承して開業する場合も必要ですが、そもそも前の医院に通っていた患者を受け継ぐことが可能です。

患者にとっても新たに違う歯科医院を探すことは手間になり、次の医院に受け継ぐことで継続して通えることができます。

 

医院継承するメリット③「スタッフを継続雇用できる」

歯科医院継承では、スタッフを継続雇用できる場合もあります。

院長先生だけが引退する場合、残されたスタッフを次の医院で継続雇用する方式です。

歯科医院経営においてスタッフの採用は、頭を抱える問題の1つでもあります。

その問題が排除できる点は非常にメリットでしょう。

歯科医院の継承開業のデメリット

医院継承するデメリット①「継承した医院が老朽化している」

最も多いデメリット理由は、施設や機器の老朽化でしょう。

長年使用されてきた機器を受け継ぐため、まずは稼働するかどうかを確認する必要があります。

 

医院継承するデメリット②「新しい取り組みが浸透しにくい」

患者やスタッフを前の医院から受け継いだ場合、それぞれ前の医院のやり方に慣れている節があります。

そのため新しい治療や取り組みを取り入れる場合、納得してもらうまで時間がかかることが考えられるでしょう。

 

歯科医院の継承の流れ

①歯科医院の継承問題を扱う専門家に相談

②歯科医院の評価し譲渡価格を算定してもらう

③継承先の選定や交渉

④合意書の締結

⑤デューデリジェンス実施、交渉、契約

⑥引き継ぎ開始

 

個人歯科医院を継承する際に必要な届出書

では、ここから個人歯科医院の継承の際に必要な手続きや届出書について紹介します。

個人歯科医院の場合、前の開設者による廃業手続きと新しい開設者による開業手続きが必要です。

【現在の開設者による廃止手続き】

・診療所廃業届

・事業廃止届出書

・個人事業の開廃業届出書

・保険医療機関廃止届出書

・診療用エックス線装置廃止届

・給与支払事務所等の廃止届出書

【新しい開設者による開業手続き】

・診療所開業届

・個人事業の開廃業届出書

・青色申告承認申請書

・青色専従者給与に関する届出書

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書

・保険医療機関指定申請書

・保険医療機関遡及願

・診療用エックス線装置備付届

・麻薬施用(管理)者免許申請

 

歯科医院継承の際に注意しておくこと

個人事業主の場合、持分譲渡ができません。

しかし、事業売却や事業譲渡は可能ですので事前に覚えておきましょう。

また、歯科医院の継承を身内におこなう場合も第三者と同様で、手続き方法は変わりませんので省略はできません。

 

まとめ

今回は、個人歯科医院の継承について紹介しました。

医院継承で重要なことは、継承を素早くおこなうことです。

残された患者やスタッフのためにも継承する先生と適切なやりとりをしていきましょう。
トラブル回避のためにも医院継承を取り扱う専門家に相談されることをおすすめします。

〈ライター〉

歯科衛生士:土井

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