マイナンバーカード健康保険証でどう変わる?

歯科経営

2021年10月から医療機関や薬局などでマイナンバーカードが健康保険証として利用出来るようになり、皆さんの診療所でもマイナンバーカード健康保険証が身近なものになったかと思います。

厚生労働省によると、2024年4月の施設類型別のマイナンバーカード健康保険証利用率は、

 病院     13.73%

 歯科診療所  10.91%

 薬局     5.71%

となっており、少しずつマイナンバーカード健康保険証の利用が進んできています。

今年2024年12月2日からは現行の健康保険証は新規発行されなくなり、マイナンバーカード健康保険証の利用を基本とすることが決定しています。

12月を迎える前に、マイナンバーカード健康保険証についてより知識を深めておきましょう。

マイナンバーカード健康保険証のメリット

 

まずは、マイナンバーカード健康保険証を使うことによるメリットを押さえておきましょう。

1、利用者側のメリット

①より良い医療を受けることができる

医療機関・薬局を受診した際に、診療・薬剤の情報や特定健診などの健診結果の提供に同意すると、医師や薬剤師から検査結果の内容に基づいた総合的な診断を受けられる他、薬を処方してもらう時に投薬内容が重複することのないように確認してもらうことができます。

②窓口で限度額以上の支払いが不要になる(高額療養費制度)

高額な医療費が発生する場合でも、マイナンバーカードを健康保険証として使うことで、医療機関・薬局の窓口で高額な医療費を一時的に自己負担したり、事前に役所で書類申請手続をする必要がなくなります。

マイナンバーカード健康保険証があれば、高額医療費の限度額認定証を保険証とは別に持参する必要はありません。

③引越しや、就職・転職をした後もそのまま健康保険証として使うことができる

引越しや就職・転職をしたことで健康保険証の内容が変更された場合にも、マイナンバーカード保険証であれば更新は不要です。

従来の保険証と違い、マイナンバーカード保険証であればそのまま使うことができるため、新しい健康保険証が手元に届くのを待つ必要なく、すぐに医療機関を受診することができます。

※新しい保険者への加入手続きは必要です。

④医療費控除の申請が便利になる

マイナポータルから医療費情報を確認することができ、マイナポータルの情報を使って確定申告を行うことができます。

医療費の領収書を集めておく必要がなくなり、かんたんで便利です。

また、現在以下のような実証実験が実施されています。

 

・緊急の際にも情報がすぐ分かる

事故などで救急搬送されることになった時、救急隊がマイナンバーカードを活用することで救急搬送される方の診療情報・薬剤情報・特定健診情報などを正確かつ早期に把握して、救急活動の迅速化・円滑化を図る実証実験を実施しています。

・避難時

マイナボータルにより避難所で過去の診療・薬剤情報、普段飲んでいる薬、特定健診等の情報を医師と共有できるなど、避難時にも安心・安全い医療を受けることができるよう実証実験を実施しています。

このような「もしも…」の際にもマイナンバーカード健康保険証があれば安心です。

2、医療機関側のメリット

①医療保険の資格確認がスピーディに行える

マイナンバーカードを医療機関受付のカードリーダーにかざせば、スムーズに医療保険の資格確認をすることができます。

このため、医療機関や薬局受付における事務処理の効率化が期待できます。

②医療保険の事務コストが削減できる

医療保険の請求誤りや未収金が減少するなど、事務処理コストの削減が期待できます。

マイナンバーカード健康保険証が上手く使えない!こんなトラブルはどうする?

マイナンバーカード健康保険証で資格確認を行うことができないトラブルが起きた時にはどうしたら良いのでしょうか?

今年2024年7月に開催された社会保障審議会、医療保険部会において厚生労働省はこのように回答しています。

1、マイナンバーカード健康保険証で資格確認が行えない

マイナンバーカード健康保険証で資格確認が行えない場合、「全額自己負担」とはせずに、「資格(無効)」画面に乗じされた喪失済みの資格情報、過去の受診歴から確認した資格情報や過去の受診歴から確認した資格情報でレセプト請求を行うことが可能です。

また、被保険者番号等が不詳でも本人に資格申立書の記載を患者に求め、不詳レセプトとして請求を行うことで、紙の保険証の提示がなくとも「適切な自己負担割合(1~3割)」となります。

なおこの場合、オンライン資格確認等システムには「正しい医療保険者に自動的にレセプトが振替請求される」という機能があり、「誰がこの患者の医療費を支払うのか分からない」という問題は生じないようになっています。

2、健康保険証は有効だが、マイナンバーカード保険証で「無効」と表示される

この場合、以下のことが予想されます

 

①転職や転居等で資格変更があった

転職や転居等で資格変更があった(別の医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)に加入した)際に、新たな資格情報が迅速に登録されるよう、昨年(2023年)6月に省令改正を行い「資格取得届け出から5日以内(資格変更から10日以内)にシステム登録する」ことを、医療保険者に求めており、「無効」のケースが極力少なくなるように努めています。

②オンライン資格確認未登録のままマイナンバーカード健康保険証を使ってしまう

このような事態を回避するため、「データ登録までの期間」の周知、「登録済となったことを通知する仕組み」の導入を図っています。

マイナンバーカード健康保険証の申請が間に合わなかったら?

2024年12月2日にマイナンバーカード健康保険証が手元にない場合にはどうなるのでしょうか?

経過措置期間として、2024年12月2日時点で有効な健康保険証は、最長1年間使用することができます。

また、2024年12月2日以降、以下の条件のいずれかに該当する方は、申請なしで保険者から資格確認書が交付される予定です。

医療機関・薬局の受付時に、この資格確認書を提示することで受診できます。

・マイナンバーカードを取得していない方

・マイナンバーカードを取得しているが健康保険証の利用登録をしていない方

・マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れて一定期間経過した方や、カード本体の有効期限が切れた方

また、2024年12月2日の新規保険証発行の終了後には資格確認証が交付され、保険証の有効期限終了後は資格確認書で保険診療を受けることになります。

このため、「保険証が使えなくなる」という認識は誤りであることを理解しておきましょう。

まとめ

マイナンバーカード健康保険証の利用を促すため、厚生省はポスターや広告などによる周知活動の他、利用率が向上した医療機関や薬局に支援金を支給するといった普及策に取り組んでいます。

とはいえ、当面はマイナンバーカード健康保険証と現行の保険証とが混在する形になることと思われます。

マイナンバーカード健康保険証についての正しい知識を持った上で、落ち着いて12月を迎えましょう。

ライター:歯科衛生士 古家

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