歯科経営
歯科医院の人材採用では、歯科衛生士や歯科助手が主流でしょう。
特に歯科衛生士の場合は求人倍率が23倍にまで上がり続け、採用が難しくなっています。
加えて、歯科衛生士や歯科助手と並行しているのが歯科医師の人材募集です。
いい歯科医師に巡り合うために、歯科医師採用にも力を入れている院長先生は多いのではないでしょうか。
ですが、たまに院長先生からこのような声を耳にします。
「歯科医師を採用したけど、すぐに退職してしまった」
「スタッフや患者からのクレームが多くて困ってる」
せっかく採用したにもかかわらず、蓋を開けてみると問題ばかりの先生だった…。
採用に、お金も時間もかけたのにもかかわらず、このような状況だとガッカリしてしまいますよね。
そこで今回は、失敗しない歯科医師の人材募集の方法について紹介します。
現在の歯科医師の有効求人倍率はおよそ5.86倍だといわれています。
歯科衛生士の23倍に比べると少ない印象ですが、それでも募集している歯科医院の数は多いといえるでしょう。
「歯科衛生士とちがい、歯科医師の数は溢れているから人材募集に困らない」
そうお考えの先生もいますが、それは少し解釈が異なります。
以前の歯科医師というと「小学生がなりたい職業」の上位に君臨していました。
医師同様、稼げる職業として認知されていることが理由の1つです。
ところが昨今では歯科医師になりたい子どもが減少している事実に加え、社会情勢に左右されるごとく歯科医師の人気は下がりつつあります。
・歯科医院はコンビニよりも多い
・歯科医院の競争が激しく利益が上がらない
・そもそも歯科医師の数が多い
このようなネガティブな解釈のひとり歩きも相まって、そのまま情報が拡散されているのが実情です。
たしかに歯科医師の数は、この20年のあいだに約1万7000人増加しています。
しかし世界的にみると過剰な数字ではなく、むしろ今後は減少の一途が予測されているのです。
そして懸念点の1つに歯科医師が偏在しているという問題があります。
地域や地区によって歯科医師が不足しているのです。
そのため有効求人倍率が高いといっても、なかなか歯科医師がいない地域があることを覚えておきましょう。
歯科医師の働き方はさまざまです。
歯科診療所や病院、医療施設以外、そして開業医や勤務医など、働く場所や勤務形態も異なります。
厚生労働省による「医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、歯科医師の9割が歯科診療所で働いていることがわかりました。
そして勤務形態の割合は、開業医が6割、勤務医が3割です。
やはり開業医の割合が多い結果でしたが、実は最近の傾向として勤務医が増え続けている事実をご存じでしょうか。
・もともと経営に興味がない または したくない
・安定した収入を得たい
・専門的な治療に専念したい
・結婚や出産を視野に入れている
理由はさまざまですが、安定志向の歯科医師がいることを考慮すると、今後も勤務医の割合は増加傾向を辿るでしょう。
では、ここから歯科医師の人材募集の種類について紹介します。
歯科医師の採用方法は以下の通りです。
・ホームページ
・求人サイト
・SNS、広告
・専門エージェント
・紹介
自院のホームページは、歯科医師の人材募集ができる媒体です。
診療理念や経営方針、治療内容、院内の雰囲気などといった情報がひと目でわかるため、求職者にアピールすることができます。
言わずと知れた求人サイトでも歯科医師の募集は欠かせません。
求人サイトに掲載されると、やはり多くの求職者の目に留まり応募につなげることができるでしょう。
無料媒体や有料媒体など種類が豊富なので、どの求人サイトを利用するか、あらかじめ確認が必要です。
昨今、普及し続けているのがSNSです。
実は、SNSも求人サイトのような活用ができます。
ホームページで伝えていない医院の裏側の情報をSNSで流すことによって、求職者が本当にほしい情報を与えることが可能です。
数は少ないですが、歯科医師だけを専門にしている人材紹介会社が存在します。
歯科医師専門の担当エージェントによる求人の案内や面接や見学の日程調整、入職準備に至るまで手厚いサポートが充実しています。
既存のスタッフや友人からの紹介で採用するケースも多いと思います。
紹介なので、ある程度求職者の能力や人となりにも信用性が高いことがメリットです。
採用コストを抑えたい先生には1番うれしい方法だと思います。
歯科医師を採用する前に注意してほしいことは、求人票のミスマッチを防ぐことがなによりも重要です。
すぐに退職してしまう歯科医師の傾向として、「実際に働いてみて聞いていた話と違った」という話を耳にします。
そして、求職者の意向や希望を蔑ろにしている医院も歯科医師が定着しない理由です。
大事なことは、医院側の都合だけではなく求職者の考えにも耳を傾けること。
「誰でもいいから早く働いて欲しい」
という身勝手な想いは捨てて、求職者に向き合いましょう。
質のいい歯科医師を確保したいと考える院長先生なら、なおさら守ってほしいと思います。
〈ライター〉
歯科衛生士:土井
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