歯科助手としての業務の中で、歯式(ししき)を正しく理解し、適切に記録することは非常に重要です。
本記事では、歯式とは何か、その取り方、そして覚え方について詳しく解説します。
また、歯式を取る意味と、注意点についても触れますので、新人の歯科助手はぜひ参考にしてください。
1.歯式とは
1-1.歯式の基本
歯式とは、歯の位置や種類を示すための記号や数字の組み合わせです。歯科医療の現場では、患者の歯の状態を記録し、治療計画を立てる際に使用されます。
歯式には、一般的に「FDI歯式」と「Zsigmondy-Palmer方式」がありますが、日本では主にZsigmondy & Palmer方式が用いられています。
1-2.Zsigmondy & Palmer方式
一番中央にある歯を「1番(A)」として数え始めます。「2番(B)」はその隣の歯です。「犬歯」は「3番(C)」、「第一小(乳)臼歯」は「4番(D)」と続きます。そして、一番奥にある「親知らず」は「8番」と呼びます。
※乳歯に親知らずはありません。
①永久歯の歯式

永久歯は、上の前歯から順に番号が振られています。具体的には、上の前歯から親知らずまで、1から8の数字が使用されます。通常、親知らずを含む場合は8まで、それ以外は7までの番号が振られます。この番号は、左側から右側に向かって順番に付けられます。イメージとしては、口を開けたときに見える歯を左から右へと数えていく形です。
②乳歯の歯式

乳歯の場合は、アルファベットを使用して表記します。上の歯から順にAからEのアルファベットが付けられます。永久歯と同様に、左側から右側に向かって順番に記号が付けられます。乳歯のアルファベット表記は、子どもの歯を記録する際に使われます。
1-3.FDI歯式

FDI歯式では、口腔内を4つの象限に分け、各歯に2桁の番号を付けます。第一桁は象限を示し、第二桁は歯の位置を示します。
永久歯の場合は、右上から「11…」
乳歯の場合は、右上から「51…」になります。
3.歯式の取り方
3-1.歯式を取る手順
①口腔内の確認
まず、患者の口腔内を確認し、各歯の状態を把握します。(歯科医師・歯科衛生士による)
②象限の特定
永久歯の場合、口腔内を右上(1)、左上(2)、左下(3)、右下(4)の象限に分け、乳歯の場合は右上(5)からスタートします。
③歯の番号付け
各象限内の歯に番号を付けます。永久歯の場合、中切歯から順に、11から18、21から28、31から38、41から48と進みます。
④記録
番号を歯科用カルテに記録します。欠損している歯や治療済みの歯も特定し、詳細を記載します。
4.歯式を取る意味について

4-1.歯式は共通言語になる
歯式は、患者の歯の状態を正確に把握し、適切な治療計画を立てるために不可欠です。
歯式を詳細に記録することで、歯科医師や他のスタッフとのコミュニケーションが円滑になり、治療の効率向上につながります。
また、過去の記録を参照することで、治療の進捗を確認することも可能です。
4-2.患者の口腔内状況を把握するため
特に子どもに関しては、乳歯と永久歯が混ざっている「混合歯列期」という時期があります。この時期には、どの歯があるか、どの歯がないか(生まれつき欠けている歯)、抜けた乳歯や新しく生えてきた永久歯をしっかり把握するために、歯式を記録することが非常に重要です。
5.歯式の覚え方

歯科助手として、歯式を素早く正確に覚えることは重要です。
以下に、覚えやすくするためのポイントを紹介します。
5-1.歯の番号と位置を覚える
歯式では各歯に番号が付けられています。
この番号を覚えておけば、歯の位置をしっかりと理解することができます。
5-2.歯の特徴を観察する
歯は形や色など、目立つ特徴があります。これらを観察し覚えることで、歯式を記憶するのに役立ちます。
5-3.口内模型を使う
口内模型を使うことで、歯の形や位置関係を目で見て理解できます。模型を触りながら歯式を覚える練習をしてみてください。
6.歯式の間違いは医療ミスにつながることも

新人の歯科助手の皆さんにとって、歯式は難しいかもしれません。しかし、間違えてしまうと医療ミスにつながることがあります。
例えば「左の親知らずを抜く予定なのに、歯式を間違えて右を抜いてしまった」らどうでしょうか?これは絶対に起こしてはいけないミスです。また、小児の歯式も乳歯と永久歯を区別する必要があります。もし「乳歯を永久歯」「永久歯を乳歯」と書き間違えてしまうと、親御さんに説明する際に不信感を抱かれてしまいます。
さらに、歯科医師の皆さんも保険の入力をする際に、歯式を間違えないように気をつけましょう。歯式の入力ミスは、保険の返戻の原因になってしまいます。
まとめ

歯科助手のための歯式の取り方と覚え方についての説明でした。
新人の歯科助手は、ぜひ参考にしてみてください。
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