か強診認定でどう変わる?か強診についてわかりやすく解説!

コラム

か強診(かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所)について、詳しくご存知でしょうか。かかりつけ歯科医の有無と、う蝕の発生や残存歯数は関連があることがわかってきています。また、か強診は患者さまへのメリットも大きいため、認定を受ける歯科医院も増えてきました。

 この記事では、か強診の重要性やメリット・認定への課題など、わかりやすく解説いたします。

なぜ、か強診が重要とされるのか

かかりつけ医の基準として、「健康に関することをなんでも相談出来る上、最新の医療情報を熟知して、日強ようなときには専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と、厚生労働省は定義づけています。

出典:厚生労働省|「かかりつけ医」ってなに?

 

また、かかりつけ歯科医とは、「安全・安心な歯科医療の提供のみならず医療・介護に係る幅広い知識と見識を備え、地域住民の生涯に亘る口腔機能の維持・向上をめざし、地域医療の一翼を担う者としてその責任を果たすことができる歯科医師」と日本歯科医師会は定義付けています。

出典:かかりつけ歯科医について(日本歯科医師会の考え方)|その他

 

近年、子どものう蝕指数は年々減少しています。また、すべての年齢において、20本以上の歯が残っている人は年々増加傾向にあります。これは、予防歯科という考えが定着してきたことや、8020運動が大きな成果を残したという証です。

 

一方で、歯周炎に罹患している人はどの年代においても増加傾向にあり、特に高齢者は著しく増加しています。

高齢者の補綴治療の割合も増加しており、高齢者における口腔機能の低下が懸念されています。

 

このような環境で、従来の歯の形態回復を行うことを主体とした「治療中心型」の歯科治療ではなく、全身疾患の状況などもふまえ、他業種の方とも連携しつつ個々の状態に応じた口腔機能の維持・回復を目指す「治療・管理・連携型」の歯科医療が必要になってきました。か強診になるということは、これからの歯科に必要な役割を果たすことに繋がると考えられます。

か強診になるメリットとは?

患者さまにとってのメリット

か強診になることで、フッ素塗布や定期検診のような予防処置にも健康保険が適用されるようになります。これまでより気軽にう蝕予防や歯周病予防を行えるようになるため、重症化を防ぐことにも繋がります。

 

また、在宅ケア・訪問ケアにおいても健康保険が適用されますので、患者さまのライフスタイルに寄り添う診療形態を取りやすくなったといえるでしょう。

歯科医院にとってのメリット

患者さまの希望にあった治療を行いやすくなるため、これまで以上に満足していただける可能性が高くなります。患者さまにかかりつけ医として選ばれやすくなることで、歯科医院のモチベーションも上がるでしょう。

 

また、診療報酬の加算ができるようになることも、メリットのひとつです。さらに、国の推進している制度に認定されている、ということは大きなアピールポイントになると考えられます。

か強診になるための条件とは

か強診の歯科医院になるためには、さまざまな条件を満たす必要があります。歯科医師や歯科衛生士の在籍数や指定された項目の過去の算定実績、装置・器具の設置など項目が多いため、諦めている歯科医院も多いかもしれません。研修を受ける必要があるなど初期投資が必要になりますが、これからの歯科医療において需要が高まるばかりといわれています。

出典:かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)

か強診における具体的な加算点数

か強診になると、どのような加算がされるのでしょうか。社会保険歯科診療報酬点数早見表では、以下の部分にか強診が関わっています。

歯科疾患管理料

エナメル質初期う蝕管理加算(かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所)260点

長期管理加算(初診月から起算して6月を超えた場合)か強診 120点

歯周病安定期治療

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所加算(月1回)120点

在宅患者訪問口腔リハビリテーション

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所加算 75点

 

 

このように、か強診では予防歯科に関わる診療を中心に加算されます。

患者さまに選んでもらえる歯科医院になるために

か強診にならなかったとしても、かかりつけ歯科医になることはもちろん可能です。患者さまの希望に合わせた治療を行うなど、寄り添った診療を行うことは認定の有無に関わらず患者さまに喜ばれるでしょう。

 

か強診の魅力を簡単にまとめると、「予防処置にも保険が適用されるようになる」「在宅ケア・訪問ケアにも保険が適用されるようになる」「診療報酬加算ができるようになる」の3つです。

 

か強診には認定条件が多く、歯科医院の状況によっては認定が難しいこともあります。しかし、初期投資以外にこれといったデメリットもありませんので、少しでもご興味のある方は検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

ORTC 歯科衛生士ライター

hashimo

 

【自己紹介】

2021年から歯科衛生士webライティングを開始。歯科衛生士歴11年。現在も歯科衛生士として働きながら、歯科コラムの執筆活動をしている。「患者さまに喜んでもらえる歯科衛生士」がモットー。

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