歯科医院を開業するなら継承開業?新規開業?後悔しない開業の選び方

歯科経営, 歯科医

将来、自分の歯科医院を持ちたいと考えているものの、「親の医院を継ぐべきか、それともゼロから新規開業すべきか」迷ってはいませんか。

そうした悩みの根底には、「スタッフとの人間関係や経営面で失敗したくない」「自分らしい医院を作りたいが、どう進めてよいのかわからない」という不安もあるのではないでしょうか。
 

本記事では、複数の歯科医院で勤務経験を積んできた歯科医師が、「継承開業」と「新規開業」それぞれの特徴、メリット・デメリット、スタッフ目線での違いを解説します。

さらにどちらを選ぶべきか、判断するための具体的な視点や考慮すべきポイントについても整理しています。
 

この記事を読むことで、「継承か新規か」で悩むあなたが、自分の価値観や経験に合った開業スタイルを見つけ、前向きに準備を始めるためのヒントが得られます。

1.継承開業と新規開業の違いは?

継承開業とは、親や他の歯科医師が運営していた医院を引き継ぎ、自分が新たな院長として経営を担う開業スタイルです。

既存の患者やスタッフ、設備、地域の信頼をそのまま引き継ぐことができる点が特徴です。
 

一方で、新規開業はゼロからスタートする方法で、物件選び、医院のコンセプト設計、導入機器の選定、スタッフ採用まで、すべて自分自身でゼロから築き上げていきます。

どちらも「自分の医院を持つ」という点では同じですが、スタート地点の条件や開業までに必要な準備の内容や難易度は大きく異なります。

2.継承開業のメリット・デメリット

継承開業ではメリットとデメリットが存在します。

以下を参考にしてください。

継承開業のメリット

・既存の患者基盤と売り上げがあるため、初月から経営が安定しやすい。

・スタッフ・設備・物件がすでに整っているケースが多く、初期投資の抑制が可能
・「院長交代」のタイミングに合わせてスムーズな引き継ぎが可能。

継承開業のデメリット

・スタッフとの人間関係が構築済みで、価値観のズレが起きる可能性あり

 例:前院長に従っていたスタッフが新院長に反発するケース

・医院のコンセプトや診療スタイルを変えにくい。

・建物や設備が古く、リニューアル費用がかさむ恐れあり。

・継承価格や手続き、税金面などでトラブルになりやすい。

3.新規開業のメリット・デメリット

新規開業ではメリットとデメリットが存在します。

以下を参考にしてください。

新規開業のメリット

理念・診療スタイル・スタッフ文化を築ける

・内装や機器も理想の選択が可能

・勤務経験を活かして、「自分が理想とする医院」をゼロから設計可能
例:子ども中心の医院、予防重視など。

新規開業のデメリット

患者ゼロからのスタート。開業後しばらくは赤字覚悟。

・採用・教育・集患など、多くの業務を自ら担う必要性。

・設備投資・広告費など、初期費用が非常に高額。

・エリア選定に失敗すると経営に直結するリスクが高い。
 

4.スタッフ目線で見る継承と新規の違い

継承開業の場合、スタッフにとっては「院長が変わるだけ」という認識であることが多く、日々の業務や勤務体制が大きく変わることは想定していないケースが多いです。

そのため、もし新しい院長が理想とする医院の方針や文化へと大きく変えようとすれば、スタッフとの意識におけるギャップが生まれ、反発や戸惑いにつながる可能性があります
 

一方、新規開業では、医院の立ち上げ段階からスタッフを採用するため、医院の理念やビジョンに共感した上で参画してくれる人材を選びやすい点が特徴です。

スタッフ自身も「新しい医院を一緒に作っていく」という当事者意識を持ちやすく、チームの一体感や柔軟性が育ちやすい傾向にあります。
 

いずれのケースでも、開業初期におけるスタッフ教育や信頼関係の構築は極めて重要です。
スタッフとの関係がうまく築けるかどうかが、医院経営の安定と成長に直結するといえるでしょう。

 

5.開業スタイルはどう選ぶ?知っておきたい判断ポイント

開業スタイルの選び方の判断ポイントとして、「経営面」「人間関係」「自分の経験」の3つの視点から考えると判断しやすくなります。

これら3つを詳しく解説していきます。

経営面での視点

継承開業は既存の患者や設備が整っているため、初期投資が比較的少なく、資金回収の見込みも立てやすいというメリットがあります。

一方、新規開業は自由度が高くリターンも大きい反面、集患・収益化には時間がかかり、開業から数年は体力勝負となる覚悟が必要です。

人間関係・自分の性格

継承は既存スタッフや患者との関係調整が求められるため、人間関係のバランスを取るのが得意な人に向いています。

新規開業は、自分の理想やビジョンを一から形にしたいタイプに適しており、組織文化もゼロから作り上げることが可能です。

勤務経験の活かし方

継承でも新規でも、「以前の勤務先での成功や失敗」を分析し、どのように改善・再現するかという視点を持つことで、自分らしい医院づくりに活かすことができます。

まとめ

継承か新規かに、絶対的な正解はありませんが、あなたの決断をスタッフ全員で正解に変えていく熱意とチームの力が求められます。
 

重要なのは、自分のこれまでの勤務経験や価値観をどう活かすかという視点です。

不安を感じるのは当然ですが、自信を持って進むためには、リスクを正しく理解し、丁寧に準備を進めることが大切です。
 

一歩踏み出す勇気こそが、これからの医院の土台を築き、あなたらしい医院経営への道を切り開いていきます。
 

今まで見てきた患者さん、学んできた現場、感じた疑問や理想のそれらすべてが、これからの経営における「土台」になります。

誰かの成功例ではなく、「あなた自身の成功ストーリー」をつくるもので、開業の一歩を考えてみてください。


迷っている今こそ、価値あるスタート地点です。

 

 

よくある質問

Q1.親の医院を継承すべきか、新規開業すべきか迷っています。

A.どちらにもメリット・デメリットがあります。

大切なのは、自分の性格や経験、将来像に合っているかどうかを見極めることです。

Q2.継承開業で、スタッフとの人間関係づくりで気をつける点はありますか?

A.院長が変わることに不安を抱えるスタッフもいます。

まずは対話を重ね、信頼関係の再構築に時間をかけることが重要です。

Q3.新規開業はリスクが大きいと聞きますが大丈夫でしょうか?

A.リスクは確かにありますが、自分の理想を反映しやすく、理念に共感したスタッフとゼロから作れる魅力も大きいです。

Q4.継承物件でよくあるトラブルにはどんなものがありますか?

A.設備の老朽化や契約内容の曖昧さ、スタッフとの価値観のズレなどが挙げられます。

事前の調査と引き継ぎ、対話が鍵です。

Q5.勤務医としての経験を開業にどう活かせば良いですか?

A.成功事例だけではなく、失敗や違和感を感じたことも財産です。

何を残し、何を変えたいか明確にする視点が大切です。

 

歯科衛生士ライター 大久保

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