こんな方におすすめ
・卒後間もない先生
・保存修復について再確認したい先生
・基礎をアップデートしていきたい先生
・卒後間もない先生
・保存修復について再確認したい先生
・基礎をアップデートしていきたい先生
臨床・研究・教育の場でマルチに活躍されている宮崎先生に、保存修復に関して臨床の現場で役立つ内容をお話しいただきました。
日々行っている診療も振り返ることで新たな発見や再認識もあるかと思います。
ぜひご覧ください。
CAD/CAM冠の接着の注意事項
CAD/CAM冠の接着では、セメントスペースの管理が重要です。
セメント層が厚くなると接着力が低下し、脱落の原因となります。
適切なプライマー処理を行い、セメント層の厚みを30μm程度に抑えることが望ましいでしょう。
また、内面処理と歯面処理を適切に行うことで接着力を向上させます。
唾液や仮着材による汚染に注意し、サンドブラストやイボクリーンなどで確実に除去することが必要です。
これらの注意点を守ることで、CAD/CAM冠の接着の信頼性が高まります。
CAD/CAM冠の脱落は、主にセメントスペースの問題から生じます。
加工の特性上、バーの大きさよりも狭い部分は加工できず、セメントスペースが大きくなる可能性があります。
セメント層が厚くなると、重合収縮により接着力が低下し、脱落のリスクが高まり、適応が良好な場合でも30μm程度です。
しかしながら、場所によっては300〜500μmの厚みになることもあります。
これらの要因により、一時期はかなりの割合で脱落が報告されていました。詳しく説明します。
以下で詳しく解説していきます。
CAD/CAM冠の適合性は、加工方法の特性上、従来のメタル冠と異なります。
ミリングマシンのバーサイズの制限により、細部の再現が難しく、セメントスペースが大きくなる傾向があるようです。
適合が良好な場合でもセメント層の厚みは約30μmとのこと。
この際のセメント層の厚さの変化が、補綴物の適合性に影響を与える主な要因となっています。
レジンセメントの重合収縮は、光照射の方向により影響を受けます。
クラウン内面の接着力が強い場合、セメントはクラウン側に向かって収縮してしまうのです。
歯面のプライマー処理が不十分だと、セメントと歯面の間にギャップが形成される可能性がある一方、適切なプライマー処理を行えば、このギャップ形成を防ぎ、安定した接着を得ることができます。
確実なCAD/CAM冠接着には、適切な内面処理と歯面処理が不可欠です。
内面処理では、サンドブラスト後にシランカップリング処理を行い、フィラーとレジンセメントの化学的接着を促進します。
ただし、ブロックの種類によっては専用のプライマー(MMA主成分)が効果的な場合もあります。
歯面処理では、仮着材や唾液による汚染を確実に除去することが重要です。
イボクリーンやサンドブラストを用いて表面の汚染物質を取り除き、清浄な接着面を確保します。
これらの手順を適切に行うことで、CAD/CAM冠の確実な接着が可能となります。
CAD/CAM冠接着の一連の流れは以下のとおりです。
1. 根管治療(必要な場合)
2. ボンディング処理
3. フロータイプのコア用レジン充填
4. 支台歯形成
5. 印象採得
6. CAD/CAMによるブロック加工
7. 内面処理
8. 歯面処理
9. レジンセメントの塗布
10. クラウンの装着
11. 余剰セメントの除去
12. 光照射による重合
注意事項として、各ステップで適切な処理と清掃を行い、確実な接着を目指すことが重要です。
この点は忘れないようにしましょう。
シランカップリング剤は、CAD/CAM冠の接着において重要な役割を果たします。
加水分解によりシロキサン結合を形成し、無機フィラーと有機レジンマトリックスを化学的に結合させます。
これにより、レジンセメントとCAD/CAM冠の内面との強固な接着が可能に。
フィラーを露出させるサンドブラスト処理後にシランカップリング処理を行うことで、最適な接着効果が得られますが、一部のブロック材料では効果が限定的で、MMAを主成分とする専用プライマーが推奨される場合もあります。
CAD/CAM冠の接着において、主な汚染源は唾液と仮着材です。
試用時の唾液汚染は避けられず、仮着材も完全除去が困難になります。
これらの汚染は接着力を著しく低下させてしまうのです。
その対処法として、サンドブラストを使うと効果があります。
特にジルコニア修復物では、サンドブラストが汚染除去と表面粗造化の両方に有効です。
また、イボクリーンという専用洗浄剤も有用ですが、強アルカリ性のため技工サイドでの使用が推奨されます。
シリコン適合チェック材の使用後は、残留シリコンオイルの除去も重要です。
適切な汚染除去が確実な接着の鍵となります。
この動画では、CAD/CAM冠の接着における注意点が説明されていました。
セメントスペースの管理、重合収縮の問題、適切な内面処理と歯面処理の重要性が強調されています。
特に、唾液や仮着材による汚染の除去、サンドブラストやイボクリーンの使用法、シランカップリング剤の効果について詳しく解説してくださった宮崎先生。
ジルコニア修復物の特性や、プライマー処理の重要性も取り上げられています。
最後に、確実なCAD/CAM冠の接着のための一連の流れが示されており、各ステップでの適切な処理の必要性が強調されていました。
ここまでが宮崎先生の動画で得られた学びになります。
ぜひ臨床の場で生かして下されば幸いです。
ORTConlineでは日頃の診療で他の人には聞けない悩みを解決するため、様々なテーマを取り扱っています。
1本15分程度で構成しているので、ぜひ隙間時間にスキルアップしてみませんか?
ここまでお読みくださりありがとうございました。
動画の方も是非ご視聴ください!
編集・執筆
歯科専門ライター 萩原 すう