Universal Adhesive

各メーカーの独自の技術及び歯科における接着技術の進歩

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視聴可能
講師
宮崎真至
日本大学歯学部保存学教室修復学講座 教授

こんな方におすすめ

・卒後間もない先生

・保存修復について再確認したい先生

・基礎をアップデートしていきたい先生

動画の紹介

日々、臨床・研究・教育でマルチに活躍されている宮崎先生に保存修復に関して、臨床の現場で役立つ内容をお話しいただきました。

 

日々行っている臨床も振り返ることで新たな発見や再認識もあるかと思います。

 

ぜひご覧ください。

動画内容

歯科における接着技術の進歩

 

2024年現在、歯科用レジンセメントの進化が加速しています。

 

各メーカーは独自の技術を駆使し、接着性能だけでなく、操作性や除去のしやすさなど、臨床的要求に応える製品開発に注力し始めました」と宮崎歯科医師(以下:宮崎先生)。

 

最新のトレンドは、自己接着性レジンセメントにプライマーを併用するシステムです。

 

これにより、通常の保険診療では簡便な使用が可能で、高度な接着が求められる自費診療ではプライマーを追加することで性能を向上させられます。

 

また、常温保存可能な製品やチップの改良による無駄の削減など、使いやすさも向上しています。

 

歯科医療の効率化と品質向上の両立を目指す、接着技術の進歩は着実に進んでいるのです。

自己接着性レジンセメント

自己接着性レジンセメントは、メーカーごとに独自の特徴を持っています。

 

主な違いはフィラーの種類と大きさにあります。

 

電子顕微鏡像を見ると、球状フィラーや不定形フィラー、大小さまざまなサイズのフィラーが使用されていることがわかるでしょう。

 

これらの違いは、セメントの操作性や流動性に影響を与えます。

 

例えば、細かすぎるフィラーはべたつきの原因となるため、適度な大きさのフィラーを使用することで、扱いやすさを向上させています。

 

また、有機フィラーやクラスター状のフィラーを組み合わせるなど、各メーカーが工夫を凝らすことで、製品ごとの性能や使用感の違いにつながっているのです。

 

球状フィラーや不定形フィラーの違いについてまでは分からなかったので、私にとってはとても勉強になりました。

細かいセメントは粘質になる

自己接着性レジンセメントのフィラーサイズは、操作性に大きく影響します。

 

電子顕微鏡像から、各メーカーが異なるフィラー配合を採用していることがわかるでしょう。

 

細かすぎるフィラーを使用すると、セメントがべたつき、ネチネチとした質感になってしまいます。

 

これにより流動性が低下し、扱いにくくなる問題が起こりかねません。

 

そのため、メーカーは適度な大きさのフィラーを使用することで、操作性を向上させています。

 

例えば、2〜5ミクロン程度の大きさのフィラーを配合したり、大小のフィラーをバランスよく組み合わせたりすることで、適切な粘性と流動性を実現しているのです。

レジンセメント製品の特徴

最新のレジンセメント製品は、使いやすさと高性能を両立しています。

 

3Mの製品は、小型ミキシングチップによるセメント残量の削減や、衛生的なシリンジデザインが特徴です。

 

GCの製品は、保険診療用と自費診療用を使い分けられる設計で、接着強化プライマーとの併用で幅広い用途に対応します。

 

また、常温保存可能な製品も登場し、臨床現場での利便性が向上しています。

補綴多様化に向けて

 

現代の歯科治療では、ファイバーポストの挿入からコア形成、そして最終的な補綴装置の装着まで、複雑な手順が欠かせません。

 

この多様化する補綴処置に対応するため、各メーカーは一貫したシステムの開発に注力しています。

 

自己接着性レジンセメントを基本とし、プライマーを併用することで、保険診療から高度な自費診療まで幅広いニーズに応える製品が登場しています。

 

その代表例が以下の3つです。

 

・リライエックスユニバーサルレジンセメント

・ジーセムONE neo

・ビューティボンドXtreme

 

下記で詳しく解説していきます。

リライエックスユニバーサルレジンセメント

3Mが開発したリライエックスユニバーサルレジンセメントは、革新的な特徴を持つ製品です。

 

最も注目すべき点は、小型化されたミキシングチップです。

 

これにより、チップに残るセメント量を従来比80%削減し、無駄を大幅に抑えています

 

また、衛生的なシリンジデザインも特徴的です。使用後にミキシングチップを取り外すと、シリンジ先端が自動的に閉じる仕組みになっています。

 

さらに、スコッチボンドユニバーサルプラスアドヒーシブとの相性が良く、歯面だけでなく補綴物内面にも適用できる汎用性の高さが特徴です。

 

これらの特長により、ステップ数の削減と使いやすさを実現しています。

ジーセムONE neo

GCが開発したジーセムONE neoは、versatileの使用が可能な自己接着性レジンセメントです。

 

保険診療から高度な自費診療まで、幅広いニーズに応える製品となっています。

 

保険診療では単体で使用でき、CAD/CAMやセラミックスなどの自費診療では接着強化プライマーと併用することで、幅広い症例に対応可能です。

 

特筆すべき点は、その化学重合性能になります。

 

ラジカル重合技術を応用し、光なしでも確実に硬化するデュアルキュア性能に優れているとのこと。

 

さらに、接着強化プライマーには重合促進剤が配合されており、セメントとの相乗効果で接着性を高めています。

ビューティボンドXtreme

ビューティボンドXtremeは、多機能性と使いやすさを兼ね備えた製品です。

 

最大の特徴は、レジンセメント「ビューティセムSA」との併用により、幅広い用途に対応できる点になります。

 

補綴装置の内面処理から支台歯への塗布まで、一つの製品で行えるため、手順の簡略化が可能です。

 

さらに、常温保存(1〜25℃)が可能という画期的な特性を持ち、冷蔵保管の手間を省けます

 

また、変色抵抗性が向上しており、審美性を長期間維持することができるようになりました。

 

これらの特徴により、臨床現場での使いやすさと高い性能を両立させた製品となっています。

日本で選ばれるのは手順がわかりやすいセメント

日本の歯科臨床現場では、手順がわかりやすく、使いやすいレジンセメントが好まれる傾向にあります

 

現在のトレンドは、プライマー併用型の自己接着性レジンセメントです。

 

このシステムの特徴は、保険診療と自費診療の両方に対応できる点にあります。

 

通常の保険診療では、自己接着性レジンセメントを単独で使用し、簡便な操作で済ませることができる一方、CAD/CAM冠やセラミックスなどの自費診療では、同じセメントにプライマーを併用することで、より高い接着性能を発揮することが可能です。

 

この方式により、歯科医師は使用するシステムを統一でき、手順の混乱を防ぐことができます。

 

また、状況に応じて接着性能を調整できる柔軟性も魅力です。

 

このような使いやすさと高性能の両立が、日本の歯科医師に支持されている理由といえるでしょう。

レジンセメントを扱う注意事項

レジンセメントの取り扱いには、2つの重要な注意点があります。

 

・保管状況に注意が必要

・有効期限の確認

 

定期的に在庫をチェックし、有効期限の近い製品から使用するなど、適切な在庫管理が求められます。

まとめ

歯科用レジンセメントの技術は急速に進化しています。

 

各メーカーは独自のフィラー技術を駆使し、接着性能と操作性の向上を目指していることが現状です。

 

最新のトレンドは自己接着性レジンセメントとプライマーの併用システムで、保険診療と自費診療の両方に対応可能

 

また、常温保存可能な製品や衛生的なデザインなど、使いやすさも向上しています。

 

適切な保管と有効期限の確認が重要です。

 

ここまでが宮崎先生の動画で得られた学びになります。

ぜひ臨床の場で生かして下されば幸いです。

 

ORTConlineでは日頃の診療で他の人には聞けない悩みを解決するため、様々なテーマを取り扱っています

 

1本15分程度で構成しているので、ぜひ隙間時間にスキルアップしてみませんか?

ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

動画の方も是非ご視聴ください!

 

 

編集・執筆

歯科専門ライター 萩原 すう

教えて先生

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