こんな方におすすめ
小児の患者様が多く、予防的な視点でのアプローチを学びたい先生
不正咬合の原因を、歯列だけでなく口腔機能や習癖、全身の成長発育から診断したい先生
早期治療・予防矯正のメリットを理解し、臨床の引き出しを増やしたい先生
動画の紹介
本講演は、不正咬合の「目」を早期に摘み取り、健全な咬合へと導くための小児矯正の戦略を、東洋医学の未病治(未だ病をならざるを治す)の概念に基づき展開します。
乳歯列・混合歯列期の叢生やV字型歯列は、何もしなければアングルⅡ級や開咬、反対咬合などの重度な不正咬合へと移行するリスクが高く、この早期発見・早期介入が極めて重要です。
動画内容
不正咬合を加速させる環境的要因:口腔習癖と口呼吸
不正咬合は、遺伝的要因と環境的要因(口腔習癖、姿勢など)が絡み合って進行します。特に絶癖、指しゃぶり、そして高呼吸は、歯列を悪化させる最大の要因です。高呼吸は、アレルギー疾患、免疫異常、うつ病、さらには齲蝕、歯肉炎、口臭、そして不正咬合を招く「悪」であり、早期の機能改善が不可欠です。
高呼吸の是正の重要性は、単に歯列の問題に留まらず、鼻呼吸が持つ免疫組織系によるウイルス・細菌の除去という「人間の持つすごい機能」の活用に繋がります。しかし、これらの口腔習癖は無意識で行われるため、根気のいる訓練と家族の協力が成功の鍵となります。
成長発育期へのアプローチ:構造と機能の調和
小児矯正では、歯年齢と成長発育期というダイナミックなステージを考慮し、構造(歯列・顎骨)と機能(咀嚼・嚥下・呼吸)の両面からアプローチします。
構造面(矯正診療系)の目標
- スペースリゲイニング(拡大床、リンガルアーチなどによるスペース確保)。
- 小移動や放出の誘導による歯列の整復。
- 抜歯や開窓牽引といった外科的処置の適切な判断。
機能面(生活面)の目標
- 筋機能訓練(MFT)や口腔習癖の予防。
- 鼻呼吸の徹底指導と生活習慣の改善。
- 全身の姿勢の改善指導。
- ご家族への教育:ファミリーデンティストとして、お子様の機能異常が家族全体に及ぼす影響を伝え、協力を仰ぐ。
外傷リスクの認識:欠損ドミノの予防
齲蝕や歯周病による喪失に加えて、外傷による歯の欠損は、小児の咬合にとって大きな脅威です。活発な運動・活動期にある小児に対して、マウスガードの処方による外傷予防の重要性を強く訴えます。たった1本の歯の欠損が「欠損ドミノ」を引き起こし、全身の健康へ悪影響を及ぼすことを予防する視点も、小児の咬合育成には不可欠です。