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ログアウト歯科の超音波スケーラーの禁忌について
コラム, 歯科衛生士
超音波スケーラーの役割
超音波スケーラーは洗浄とキャビテーション効果があり、 1秒間に25000〜40000回もの微細な振動を行うことで、歯周ポケット内に残った歯石や汚れ、細菌などを効果的に洗浄することができる機械です。
超音波スケーラーの禁忌について
1. 心臓病や心臓ペースメーカーの患者：
心臓病や心臓の異常を抱える患者や、心臓ペースメーカーを装着している患者は、超音波スケーラーの使用が禁忌とされています。
超音波振動が心臓に悪影響を与える可能性があることや、電磁障害を起こす可能性があるためです。治療前に患者の病歴を確認し、適切な処置を行うことが重要です。
2. 妊娠中の女性：
超音波スケーラーは、高周波振動を利用して歯の表面から歯の深部へ歯垢や歯石を除去するため、また水を使用することもあります。しかしながら、妊婦に対しては超音波の影響やストレス、
心理的な負担を考慮しなければなりません。特に妊娠初期の段階では、慎重に検討し、不必要な操作は避けるべきです。
3. 知覚過敏の人:
歯牙が過敏で痛みを感じやすい場合、超音波スケーラーは過敏症状を悪化させる可能性があります。過剰な振動や摩擦は神経を刺激し、歯の感受性を高めることがあります。このような患者には、超音波スケーラーの使用は控えるか、より低いパワー設定や主用スケーラーを検討する必要があります。
4.メタルアレルギー：
超音波スケーラーに使用されるチップや手具は、金属で作られています。メタルアレルギーを持つ患者さんがいる場合、スケーラーの使用はアレルギー反応を引き起こす可能性があるため念のため注意が必要です。アレルギーを持っている患者さんには、別の手段で歯垢や歯石の除去を行うべきです。
5.感染症：
伝染性の疾患を持つ患者さんに対しては、超音波スケーラーの使用はリスクが高まる可能性があります。感染を広げるおそれがあるため、患者さんの歯科状態や感染症の有無を十分に確認した上でスケーリングを行うべきです。適性な感染予防対策を徹底することも重要です。
感染症の例:麻疹、結核、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、免疫疾患等
6. 歯周病進行中の患者：
歯周病が進行している患者に対しては、超音波スケーラーの使用が注意が必要です。振動によって歯周ポケット内の細菌が拡散し、感染や痛みを引き起こすリスクがあるためです。治療前には、拡散を最小限に抑えるための適切な技術や器具を用いる必要があります。
7. 錆や劣化が進んだ金属製の被せ物やインプラント：
超音波スケーラーは歯垢や歯石の除去に使用されますが、錆や劣化が進んだ金属製の被せ物やインプラントに使用することは推奨されません。振動によって被せ物やインプラントが損傷するおそれがあるため、患者の口腔内の状態や治療履歴を入念に確認することが必要です。被せ物やインプラントがある場合は、適切な手技や器具を使用して、患者の安全を確保しながら治療を行うべきです。
8. 切開創や手術後：
口腔内に切開創や手術後の傷がある場合、超音波スケーラーの使用は患者さんの快適さや治癒を妨げることがあります。傷口を刺激することで血腫や出血を引き起こすおそれもあるため、患者さんの状態をよく確認し、必要に応じて別の手段で歯垢や歯石の除去を行うべきです。
9.嚥下が困難な患者さん:
何らかの嚥下障害がある方は水が出る超音波スケーラーは不向きです。嚥下障害がある方には、主用スケーラーを使用し、プラークや歯石は絶対に口腔内に落とさないようにしましょう。(誤嚥性肺炎の恐れがあるため)
10.呼吸器疾患がある患者さん
呼吸困難に陥る可能性があるため。
(COPDや喘息、そのほか呼吸障害を引き起こす可能性のある疾患、持病がある方)
まとめ
歯科の超音波スケーラーは、高度な歯石の除去に役立つ効果的なツールですが、適切な使用が重要です。心臓疾患や妊娠中、メタルアレルギー、感染症、切開創や手術後の傷がある場合、
超音波スケーラーの使用は慎重に行わなければなりません。患者さんの安全と快適さを最優先に考えた上で、適切な治療計画を立てることが求められます。
また、私の経験上、呼吸器疾患がある方、ペースメーカーを入れている方の中で「歯医者でわざわざ言わなくていいか」と自己判断で自分の疾患のことを話してくれない方もいます。
問診票に書かれていなくても、超音波スケーラーを使用する前には必ず疾患の有無を確認しましょう。
さらに、超音波スケーラーだけでなく、エアフローなどを使う際には呼吸器疾患の有無、鼻呼吸は可能か、花粉症やアレルギーの有無なども確認するようにしましょう。
歯科衛生士ライター 西山
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