抗菌薬の覚え方!ペニシリン系とセフェム系の覚え方を解説!

コラム

抗菌薬は、細菌や他の微生物の成長を抑制し、感染症を治療するために使用される薬剤です。しかし、抗菌薬の種類は非常に多く、それぞれの薬剤には独自の特徴や適応症があります。抗菌薬の覚え方について、特に重要なペニシリン系とセフェム系抗菌薬について解説します。

 

抗菌薬の分類

抗菌薬は、細菌の働きを阻害するメカニズムによって分類されます。主な分類には

βラクタム系抗生物質(ペニシリンやセフェム系)

マクロライド系抗生物質(エリスロマイシンやアズマイシン)

テトラサイクリン系抗生物質(ドキシサイクリンやミノサイクリン)

フルオロキノロン系抗菌薬(シプロフロキサシンやレボフロキサシン)

 

などがあります。今回は特に重要なペニシリン系とセフェム系について解説します。

 

 

2.ペニシリン系抗菌薬

ベンジルペニシリン(ペニシリンG)、アンピシリン、アモキシシリン、アンピシリン・スルバクタム、アモキシシリン・クラブラン酸、ピペラシリン、ピペラシリン・タゾバクタムの種類があります。

 

①ベンジルペニシリン

青カビから作られた天然抗生物質で、レンサ球菌や髄膜炎菌に効果的ですがスペクトラムは狭いです。

 

②アンピシリン

合成ペニシリンで、腸球菌やリステリアにも効果があります。大腸菌やインフルエンザ桿菌などの腸内細菌科にも効果があります。

 

③アモキシシリン

アンピシリンの内服版で、経口吸収率が高く、溶連菌や歯科処置前の術前投薬、梅毒治療に使われます。

 

④アンピシリン・スルバクタム

ペニシリン系の抗菌薬に耐性のある細菌にも効果があります。メチシリン感受性黄色ブドウ球菌や腸内細菌、嫌気性菌にも活性があります。

 

⑤アモキシシリン・クラブラン酸

アンピシリン・スルバクタムの内服版で、嫌気性菌や腸内細菌にも効果があります。

 

⑥ピペラシリン

グラム陰性菌に対する活性が強く、KlebsiellaProteus属の一部、院内感染で問題になるグラム陰性桿菌に効果があります。

 

⑦ピペラシリン・タゾバクタム

ピペラシリンに耐性傾向の強いグラム陰性桿菌にも効果があります。院内感染症や免疫不全者の感染症で使用されますが、濫用は避けるべきです。

 

3.セフェム系抗菌薬

セフェム系抗菌薬には、セファレキシン、セファクロル、セファジリン、セファレチン、セフトリアキソン、セフピロールなどがあります。

 

①セファレキシン

広範囲の細菌に対して効果を発揮するセフェム系抗菌薬です。特に呼吸器や尿路感染症など、一般的な感染症に使われます。

 

②セファクロル

耳や鼻、喉の感染症に効果があるセフェム系抗菌薬です。扁桃炎や中耳炎などの感染症に使用され、細菌の繁殖を防ぎます。

 

③セファジリン

皮膚や軟部組織の感染症に効果があります。切り傷や膿皮症などの皮膚感染症に使用され、細菌の増殖を抑えます。

 

④セファレチン

肺炎や腎臓の感染症に対して強力な抗菌効果を持つセフェム系抗菌薬です。重症な感染症に使用され、病原菌の増殖を制御します。

 

⑤セフトリアキソン

より広範囲の細菌に対して効果を示すセフェム系抗菌薬です。髄膜炎や深部感染症など重篤な状態の感染症に使用され、抗菌作用を発揮します。

 

⑥セフピロール

耐性菌に対しても効果を発揮するセフェム系抗菌薬です。院内感染や呼吸器感染症などの治療に使用され、炎症を抑えることで細菌を撲滅します。

 

覚え方としては、以下のポイントを意識すると良いでしょう。

 

1. 共通の"セフ"という接頭辞を持つことに注目しましょう。

2. 接頭辞の次に連なる文字がアルファベットの順に変化していくことに注目します。例えば、セファレキシンからセファクロルへの順番です(キク)。

3. 最後に、個々の薬剤名を音読することで覚えやすくなります。例えば、セファレキシンを「セファレキシン、セファクロル、セファジリン、セファレチン、セフトリアキソン、セフピロール」と順番に音読してみましょう。

 

4.歯科領域で使われる抗菌薬とは?

歯科領域で使用される一般的な抗菌薬は以下のとおりです。

 

1. アモキシシリン(Amoxicillin):一般的に歯周炎や歯根感染症に使用されます。

2. クラリスロマイシン(Clarithromycin):歯肉感染症や歯周炎の治療に使われることがあります。

3. メトロニダゾール(Metronidazole):歯周炎や歯根感染症、歯肉感染症に使用されることがあります。

4. セファレキシン(Cephalexin):歯周炎や歯根感染症の治療に使われることがあります。

5. トリメトプリム/スルファメトキサゾール(Trimethoprim/Sulfamethoxazole):歯周炎や歯根感染症に使用されることがあります。

 

まとめ

本日は抗菌薬について覚え方などをご紹介しました。

私も学生の頃、抗菌薬の種類や用途を覚えましたが、何度もノートに書いて復習することが本当に大切だったと実感しております。

診療所によっては、薬剤師が所持しているような冊子が置いてあるところもあるので、もしある方は読んでみると良いと思います。

 

歯科衛生士ライター 西山

 

 

 

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