2024年5月より開講した、「科学的に『考える』力を身に付けるアライナー矯正_全4日間コース」が8月をもって終了いたしました。
このページではその開催についてレポートいたします。
【開催への思い】
このセミナーの開催は、2023年7月の槇先生とのご縁をいただいた所からスタートいたします。
私どもORTCのスタートはアライナー矯正のスタディグループ運営のお手伝いからスタートいたしました。当時私どもは、矯正治療というものがどれだけ身体にとって必要な治療技術なんだと関心を得た記憶を今でも覚えています。また、歯科界においてアライナー矯正が日を追うごとに導入されるクリニックが増えていくのを目の当たりにし、これは近い将来ほとんどの先生方が治療技術を身に付けるべき内容だと確信し、情報発信に努めてまいりました。
一方、加速的に普及していくあまり、現場では治らない矯正治療、トラブルを抱えるクリニックが増えているということを知り、私たちも発信する情報の精度について正しい情報発信ができるよう、多くの専門の先生より学びを得ながら企画を実施してまいりました。
話は戻りますが、2023年7月の槇先生とのご縁は、正に私どもにとっても矯正業界は元より歯科界にとっても重要なターニングポイントとなりました。
槇先生に置かれては、歯科病院に訪れる患者さんの中に(特にアライナーでの矯正治療)、矯正治療のやり直しを求める患者さんが急増している状況に直面し、槇先生ができることを積極的に実施していこうというタイミングでの出会いでございました。
数あるアライナー矯正の勉強会やスタディグループ、リアルでの開催、オンラインでの開催と全国各地で実施されており、アライナー矯正を取り入れる先生方はどこで何を学ぶべきなのかもわからないまま、治療に当たることが多いとわかりました。
今回実施しました第一期の4日間のコースでは、学ぶよりも先生方に考える力を身に付けていただき、「なぜこの患者さんはこのような歯ならびになったのか」、「この患者さんにはこのような歯の動かし方が必要だ」という、診断するための知識と多数の失敗症例から学べるプログラムを槇先生に組んでいただきました。
多数の成功症例から学ぶことも多くありますが、失敗してしまった症例からなぜ失敗に至ったのか、どうすれば失敗しなかったのかを十分に理解し、そしてそれを推測できる力を身に付ける事こそ、アライナー矯正をはじめとした矯正治療に携わるための最低限の力立ち再認識いたしました。
このセミナーは、これからアライナー矯正を始めようとするGPの先生から、矯正治療に長年携わった先生にとっても学びの多いセミナーの構成がされています。
是非今後もご期待いただきたいと思います。
【参加者】
東京での対面式の開催にもかかわらず、北は青森から南は徳島と総勢21名の参加者により第一期はスタートいたしました。
参加された先生の中にはワイヤー矯正を長年行ってきた先生から、これからアライナーを始めるまだ症例に携わっていない先生も参加されており、アライナー矯正の注目度の高さを感じております。
また、勉強会を通じて槇先生から教わるバイオメカニクスを基とした顔面診断の方法や症例供覧による推理形式の講義など、他の勉強会では学べない槇先生ならではの内容で受講された先生方のレベルは上がったと感じます。
小手先のテクニックも重要ではありますが、矯正治療の意義と患者さんが本当に望んでいる治療を提供するために皆様熱心に学ばれておりました。
セミナー中は質疑応答の時間や、理解が難しかった部分の振り返りなども実施し、受講者の理解を一番に考え実施されました。
今回受講いただいた先生方の、今現在分からない部分や悩んでしまっている部分がより明確になりましたので、今後のセミナーでは更にバージョンアップされた講義内容で実施されていく予定です。
【受講された方の声】
セミナー担当講師:昭和大学 特任教授 槇 宏太郎 先生
本セミナーの担当講師として、長年矯正治療に従事され、多くの矯正専門医を教育者の立場で育成されてきた、昭和大学特任教授の槇宏太郎先生にそのお役を引き受けていただきました。
アライナー矯正に関して深く学びたいという意欲の高い皆様とともに矯正治療に関する様々な問題を解決できるよう、ご指導いただきます。
ご経歴
1984年 昭和大学歯学部卒業
1989年 昭和大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1995年 昭和大学歯学部歯科矯正学講座講師
1998~1999年 UCSF客員教授(San Francisco,USA)
2003年 昭和大学歯学部歯科矯正学講座主任教授
2011年 Basel大学客員教授(Basel,Switzerland)
2013年 早稲田大学理工学術院客員教授
2013~2019年 昭和大学歯科病院長
2019年 昭和大学歯学部長,昭和大学理事
2023年4月〜 昭和大学特任教授, 昭和大学歯科病院院長
2001年~ アジア地区初のInvisalignを導入※インビザラインが日本で広まるきっかけを作られたのは槇先生の尽力によります
2016年~ 日本のアライナー矯正治療をより安心・安全に普及させるため、「日本アライナー医療研究会」を発足
槇先生より受講者へコメント:
誰でも簡単にできると思われがちなアライナー矯正ではありますが、患者さんとドクターの両者から相談を受ける機会がたいへん増えております。さらには、歯科医師会や消費者センターへのクレームや問合せも多くなっております。
これからの時代を担う先生は、様々なバイアスに惑わされることなく、アライナー矯正の利点と欠点を熟知した上で、国民により良い矯正治療を供給して頂ければと願います。その方が、永い目で見ればより豊かな成功を収めることにもなります。
ご存知のように、国家資格を得るための勉強だけでは実際の矯正治療は難しく、企業の導入セミナーで紹介されるチャンピオンケースだけを見てもあまり役には立ちません。
そして、何百症例に達したとという医院の宣伝よりも、「何例をきちんと治せたか」が最も大事です。
社会はすでにこの点に言及し始めております。(2024.8.8 DIAMOND online 参照)
したがって、まだ我々には、困難であった治療過程や失敗した原因を学ぶことにこそ意味があります。どうぞこの状況に気付かれてください。
槇先生による著書及び共著、編著された出版物
●失敗しないアライナー矯正
出版日:2024/3
出版社:デンタルダイヤモンド社
A4判変型・168頁・オールカラー
●顎顔面のバイオメカニクスとアライナー矯正 バイオメカニクス矯正診断学 コンピュータ支援矯正学 アライナー矯正学
出版日:2023/2
出版社:医歯薬出版
総頁数:288頁 / カラー
●アライナー矯正のリカバリーテクニック
出版日:2021/11
出版社:医歯薬出版
総頁数:208頁 / カラー
●症例でわかる 歯科矯正用アンカースクリュー活用術
出版日:2019/11
出版社:医歯薬出版
総頁数:374頁 / カラー
●正しく使おう! アライナー型矯正装置
出版日:2019/4
出版社:デンタルダイヤモンド社
A4判変形・164頁・オールカラー
●歯科矯正学 第6版
出版日:2019/1
出版社:医歯薬出版
総頁数:456頁 / カラー
●新 矯正歯科概論
出版日:2015/7
出版社:クインテッセンス出版
A4判 / 140 ページ
●大づかみ矯正歯科臨床シリーズ 知りたい・聞きたい矯正歯科Q&A
出版日:2012/5
出版社:クインテッセンス出版
A4判 / 136 ページ