小窩裂溝とは、歯の咬合面に見られる溝のことを指します。特に、奥歯の大臼歯は小窩裂溝が深いため、食べかすや細菌がたまりやすく、虫歯の原因になりやすい箇所です。歯の表面はブラッシングできる範囲もありますが、小窩裂溝は細かいため、ブラシの毛先が十分に届かないこともあります。そのため、予防の観点からはしばしば問題とされています。
1. 小窩裂溝の役割と問題点
小窩裂溝について詳しく解説すると、歯の表面にはいくつかの窪みや溝が存在しますが、それぞれには特定の役割があります。小窩裂溝は咬合力を均等に分散させ、咀嚼をスムーズに行うための機能を持っています。しかし、その深さや細かさが災いして、食べかすや細菌が溜まりやすい環境になってしまうのです。
2.虫歯になりやすい小窩裂溝を予防するためにできること
小窩裂溝は虫歯になりやすいことが理解できたかと思います。虫歯になりやすい小窩裂溝を予防するために、シーラントという予防治療があります。
3.シーラントとは
特殊な歯科用樹脂を小窩裂溝に塗布し、凹凸を埋めることで歯の表面を平滑化します。
これにより汚れや細菌の侵入を防ぎ、虫歯のリスクを大幅に低減することができるのです。
また、溝を防ぐことで食べかすや細菌が溜まりにくくなる効果もあり、虫歯の発生を予防する効果が期待できます。
シーラントは以下のような意義と予防効果を持っています。
1. 虫歯予防効果:シーラントにより小窩裂溝が平滑化されることで、食べかすや細菌が付着しにくくなります。このため、虫歯の原因となる細菌の増殖を抑えることができ、虫歯の発生リスクを低減することが期待できます。
2. 予防効果の長期持続:シーラントは通常、数年にわたって効果を持続させることができます。適切なケアと定期的なメンテナンスを行うことで、予防効果の持続性を高めることも可能です。
3. 無痛・非侵襲性
シーラントは痛みがなく、非侵襲性であるため多くの小児が治療を受けています。
特に治療に慣れていない小児も、30秒くらいで終わる処置なため、無理せず受けることができます。
4.フッ化物配合なため虫歯予防効果も!
シーラントにはフッ化物が配合されている製品もあります。
歯に直接接着されるものなので、溝が防がれ虫歯になりにくいだけでなく、フッ化物の効果で虫歯予防もでき一石二鳥です。
4.特に第一大臼歯にシーラントをするべし
第一大臼歯は、奥歯の中でも最初に生えてくる歯です。この歯は咬合力の大部分を受ける役割を果たしており、そのため小窩裂溝が特に深くなっています。その深い小窩裂溝が原因で歯垢や食べかすが溜まりやすく、虫歯の発生リスクが高いとされています。
また、小窩裂溝が深く複雑なため、普段の歯磨きではしっかり汚れを取りきれないことが多いのです。「予防は治療に勝る」と言われるように、シーラントによって虫歯の発生を未然に防ぐことができるため、その意義は非常に大きいと言えます。
4-1.第一大臼歯へのシーラントの効果
1. 虫歯予防:シーラントによって小窩裂溝内が平滑な表面となり、食べ物のかすや細菌がたまりにくくなるため、虫歯の発生リスクが低下します。
2. 歯周病予防:小窩裂溝内の清掃が困難なため、歯周病の原因となる歯垢や菌の増殖を防ぐことができます。
3. 保存歯の保護:第一大臼歯は噛み砕く力を最も多く受ける歯のひとつです。シーラントによって小窩裂溝が強化されることで、噛み合わせの負担を軽減し、保存歯の寿命を延ばすことができます。
5.シーラントがすぐ外れてしまう方の特徴
シーラントは永遠に接着されるものではありません。場合によっては、すぐ外れてしまう方もいます。
シーラントがすぐ外れてしまう方の特徴を以下にまとめました。
1. 正確な前処理の不足: シーラントを適切に適用する前に、歯の表面を十分に清潔にする必要があります。歯垢や残留物が残っていると、シーラントはうまく付着せず、剥がれやすくなります。
2. 口腔衛生の欠如: シーラントは歯の表面に張り付くため、口腔内の清潔さが保たれていることが重要です。歯ブラシやフロスの正しい使用が必要です。不適切な口腔衛生は、シーラントの剥がれを引き起こす可能性があります。
3. 噛撃力の問題: シーラントは、咬合圧や咬合面への摩擦などの大きな力に耐える必要があります。しかし、あまりにも強い噛み締めや歯ぎしりなどの習慣がある場合、シーラントは剥がれやすくなる可能性があります。
4. シーラントの劣化: シーラントは時間とともに劣化することがあります。常に摩耗しているため、食べ物の咀嚼や歯磨きにより少しずつ剥がれることがあります。定期的なチェックアップでシーラントの劣化を確認し、必要に応じて修復する必要があります。
まとめ
シーラントは一生涯持続するわけではありません。定期的なメンテナンスが必要ですし、噛みしめなどの力が強く、シーラントが剥がれてしまうこともあります。そのため、定期的な歯科検診やクリーニングを受けることが大切です。
ライター歯科衛生士
cocco